おじいちゃんは いつもその小さなバイクをいつも見つめている。
数年前まで よく磨いていた小さなバイク
今は見つめているだけ
西暦2045年
各メーカーがガソリン車の生産を中止してからガソリン需要も減り政府は環境税を導入
石油製品に膨大な税金を掛けてきた。
飛行機まで電動化された現代では当然の事とし反対する者もいなかった。
言葉少なく爺ちゃんは答えた。
電動のバイクしか知らない少年には理解できないようです。
納屋の壁には爺ちゃんの若いころの写真が額縁に入れて大事に飾ってある。
爺ちゃんはこのカブで旅をしていたようだ。
仲間達と楽しそうにキャンプしている写真を見て思い出に浸る日々のお爺ちゃんである。
毎日整備してピカピカのカブ 今では貴重なガソリンを1リットル入れる。
爺ちゃんは膝や腰が悪いのでエンジンを掛ける事ができない。
そこからか・・・
時代の流れを感じる爺さん。はぁ~
言っている事かさっぱり 言われるまま 3回キックでエンジンは掛かった。
電動にはない鼓動が心を揺さぶる。爺ちゃんもニンマリだ。
???少年は理解しようとするが???
何とも言えないマニュアル感が少年の心を揺さぶったのであった。
再び動き出したスーパーカブ
この時代では2輪のバイクも電動化や自動運転が当たり前になっている。
一部の愛好家だけがヴィンテージとして所有しているのです。
電動化されたスーパーカブは今も販売されレトロ調に復刻されたのもある。
復刻版は形だけで中身は電動仕様なのです。
そんな中 少年はマニュアル感満載のこの古いカブの虜になってしまった。
喜ぶ姿を見てお爺さんは少年にしばらく乗っていいと快く貸し出す。
もう一台のカブとの出会い
ある日少年がカブに乗っていると おじさんに呼び寄せられる。
エンジンの音がたまらないね。
どうしたん?そのバイク
若い少年が乗っているのに不思議に思い声をかけてきたらしい。
借りて乗っています。
家にも同じようなのがある。
実は死んだ親父が乗っていたのだけど捨てられなくてな。
タイヤも腐って錆も出ているからもうダメだろうな。
このカブってバイクは強いバイクで修理すればいつまでも走るらしいですよ。
おじさんは親父の形見のカブをもう一度走らせたい一心で少年にお願いしてみる。
バイクは私が運びます。
そして お爺さんの納屋に運んだのです。
お爺さんには大変な作業だと少年は思っていましたが
カブも見た瞬間 お爺さんは若返ったようにイキイキしている。
納屋の奥に大きな箱が二つある。
一つはタイヤとチューブと新品のパーツがぎっしり
もう一つは古いジャンクパーツがぎっしりでした。
いつか手に入らなくなる前に集めたものさ
ここで眠っているよりもう一台のカブが復活する方がいいじゃないか。
そして カブのレストアが始まるのです。
修理に持って来たもう一台のカブのレストアが始まりました。
懐かしいカブ
あんたの親父さんはケンジなのか?
親父を知っているのですか?
FI化されたカブはもうすでに発売されていたが
ケンジにキャブ仕様をすすめられて中古を探して買った新古のカブだよ。
簡単に言えばキャブレターは機械式で燃料と空気を調整してFIはコンピューターで燃料を噴射する装置なのじゃ
そういえばケンジは上手い事言っていたなぁ
2008年の初夏
なんでFI車が発売になったのに なんでキャブなんだよ。
そのひと手間で愛着が出ていつまでも乗りたくなる特別なカブになる。
キャブ車は生き物でFI車はロボットって感じだね。
天気もいいし ちょっとラーツーでも一緒に行かないかい。
今 流行ってるんよ。
インスタントラーメン持って近場のツーリングや
湖畔に到着
あのバイク屋のおっちゃんもキャブ車が好きって言っていたやろ
おっちゃんも古いカブのオーナーやねん。
いつまでも乗れるカブやから大事にしてやって言って売ってくれたよ。
ザクとグフが並んでるみたいや。
ガンダム世代はそんな風に見てしまうわ。www
一生乗るつもりや。
いろいろ教えてや。
ただ 時代が進むにつれて手に入らないパーツも出てくる。
このキャブ車も新車では手に入らないだろ。
今の内に予備パーツを集めなあかんな。
わからん事あったら何でも聞いてや。
2045年 初夏
消耗品のタイヤとチューブ交換してキャブの清掃で直ったよ。
ケンジもあの世で喜んでいるかな?
また走りだすよ。
今日は あのラーツーに行った日のような初夏の天気だな。
そう言ってお爺さんは額縁の写真を懐かしく眺めるのであった。
おしまい。
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