スーパーカブものがたり その3

2045年 スーパーカブが再び走り出す ものがたりです。

最初の話はこちらからどうぞ

スーパーカブものがたり その1
https://tuchinoko-style.blogspot.com/2019/02/cub1.html





修理に持って来たもう一台のカブのレストアが始まりました。




懐かしいカブ 

作業を始めようとする お爺さんの手が止まった。


このカブ もしかしてケンジのカブか?
あんたの親父さんはケンジなのか?


そうです。親父の名前はケンジです。
親父を知っているのですか?


知ってるも何もワシにカブの魅力を教えてくれたのがケンジや。
あいつのカブを見て ワシは、このカブを買った。
このステッカーでわかったよ。これはケンジが乗っていたカブだと。




ワシのカブは最後のキャブレター仕様のAA01
FI化されたカブはもうすでに発売されていたが
ケンジにキャブ仕様をすすめられて中古を探して買った新古のカブだよ。


FIとかキャブってなに?



電動化された現代ではFIもキャブレターも知らないのは当然やね
簡単に言えばキャブレターは機械式で燃料と空気を調整してFIはコンピューターで燃料を噴射する装置なのじゃ
そういえばケンジは上手い事言っていたなぁ


2008年の初夏



ケンジ 今日 俺のカブ納車だよ。
なんでFI車が発売になったのに なんでキャブなんだよ。


FIは夏でも冬でも安定して走れるけどキャブはひと手間掛けないとダメなんや。
そのひと手間で愛着が出ていつまでも乗りたくなる特別なカブになる。
キャブ車は生き物でFI車はロボットって感じだね。


今日 納車か 
天気もいいし ちょっとラーツーでも一緒に行かないかい。


ラーツーって何?


ラーメンツーリングでラーツー
今 流行ってるんよ。
インスタントラーメン持って近場のツーリングや


いいね。行こう!


湖畔に到着



なかなか調子良さそうだね。
あのバイク屋のおっちゃんもキャブ車が好きって言っていたやろ
おっちゃんも古いカブのオーナーやねん。


ああ 言っていた。
いつまでも乗れるカブやから大事にしてやって言って売ってくれたよ。


ラーメン作る前に並べて写真でも撮るか。


いい写真やね。
ザクとグフが並んでるみたいや。
ガンダム世代はそんな風に見てしまうわ。www


なあ ケンジ 俺このカブ気に入った
一生乗るつもりや。
いろいろ教えてや。


ええよ。
ただ 時代が進むにつれて手に入らないパーツも出てくる。
このキャブ車も新車では手に入らないだろ。
今の内に予備パーツを集めなあかんな。
わからん事あったら何でも聞いてや。


ありがとう ケンジ 頼りになるなぁ。




2045年 初夏



流石 ケンジのカブや
消耗品のタイヤとチューブ交換してキャブの清掃で直ったよ。
ケンジもあの世で喜んでいるかな?

また走りだすよ。

今日は あのラーツーに行った日のような初夏の天気だな。



そう言ってお爺さんは額縁の写真を懐かしく眺めるのであった。




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